救急カルテの書き方
今年行われた第114回医師国家試験にもPOMR(Problem Oriented Medical Record:問題指向型診療録)に関する問題があります。
B13 咳嗽を主訴に受診した、喫煙をしている 25 歳男性の問題志向型医療記録
(POMR)に基づいた診療録の一部を以下に示す。
問題リスト
#1 乾性咳嗽①
初期計画
#1 乾性咳嗽
診断的計画
胸部単純エックス線撮影②
血液生化学検査
アレルギー検査
禁煙指導③
治療的計画
鎮咳薬処方④
吸入薬処方
教育的計画
禁煙外来への通院助言⑤
記載する場所が誤っているのはどれか。
a ①
b ②
c ③
d ④
e ⑤
簡単な問題だったため正答率は99%以上だったようです
答え c ③
医師国家国家試験に出るということは、これが標準的カルテの書き方だとお国が認めたということだと思います。
若い先生方は学生時代からカルテの書き方に関する講義があるはずですが、我々の世代は、カルテの書き方を教わった経験がありません。
これが、学生の時はこう教わったけど、実際の臨床現場では違う。と、理想と現実のギャップになっている場合が多くあると思います。
さらに、医療事故に伴うカルテ改ざんが問題なった2000年代初めに、国立大学医学部付属病院長会議「医療事故防止策の策定に関する作業部会」診療記録サブワーキングが策定した「優れた診療記録の作成」の報告書には次のように記載されています。
やるべき五原則
- 客観的で臨床に関連した事項であること。
- 正確であること。
- 読める字で書いてあること。
- タイムリーに記載されていること。
- 完成されたものであること。
やってはいけない三原則
- 改ざんや改ざんと見なされることはしない。
- 他の医療従事者の非難はしない
- 患者さんや家族について、偏見に満ちた表現や感情的表現を用いない
我々は、ちょっと油断すると他の医療従事者や患者さん家族に関して感情的表現をしてしまう可能性があります。そんなカルテ記載が目に入ることがあります。決してやらないようにしましょう。
研修医講義No.3はカルテの書き方です。